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韓国のように美容医療も免税できる?日本の免税制度との違いと注意点
訪日客の増加に伴い、美容・医療分野でも外国人向けサービスが広がっています。 中には「施術も免税できるのでは?」といったご相談もありますが、制度上、すべての事業者・サービスが免税対象となるわけではありません。 本記事では、よくある誤解と制度の正しい理解を解説します。
よくあるご相談
「美容医療の施術に対して免税できますか?」
「うちは医療法人ではないけれど、化粧品などの物販を免税で売れますか?」
「韓国では美容医療も免税対象と聞いたので、日本も同じですか?」
こうしたご相談の背景には、日本と他国の制度の違いを知らないことによる誤解があります。
日本の免税制度の基本をおさらい
日本で訪日外国人向けに認められている免税販売は、「商品販売(物販)」に限られています。 制度上の区分は以下のとおりです。(2025年6月時点。)
区分 | 対象 | 代表例 |
---|---|---|
一般物品 | 消耗品以外の製品 | バッグ、時計、家電など |
消耗品 | 消費される物品 | 化粧品、サプリメント、食品など |
✅ 制度の前提条件
対象は「商品」に限られ、サービス(施術など)は対象外
販売者が「課税事業者」であること
訪日外国人が、商品を日本国外に持ち帰ることが前提
美容施術・医療行為は免税対象外です
美容外科・美容皮膚科・健康診断・点滴などのサービス行為は、たとえ訪日外国人向けでも免税の対象にはなりません。
これは、これらが「サービス提供」であり、「物販」ではないためです。
韓国では一部の美容医療行為が免税扱いとなるケースもありますが、日本ではサービスに対して免税は一切認められていません。

医療法人でなくても免税販売できる?
法人形態の有無ではなく、「課税事業者かどうか」がポイントです。
たとえ医療法人でも、課税売上高が1,000万円未満であれば「免税事業者(=消費税の納税義務なし)」となり、免税販売はできません。
「ドクターズコスメ」などの物販は免税対象になりうるが…
クリニックで販売される以下のような商品は、制度要件を満たすことで免税販売が可能になる場合があります。
ドクターズコスメ
健康補助食品(サプリメント)
美容機器(美顔ローラーなど)
ただし、以下の条件をすべて満たす必要があります:
ただし、次の条件をすべて満たす必要があります:
販売者が課税事業者であること
訪日外国人が購入者であること
商品は国外に持ち出されるものであること
免税販売に必要な仕組み(POS、書類発行など)を備えていること
※ 院内で施術中に使うための化粧品やサンプルは対象外です。
よくある誤解と実際の制度を整理
誤解されがちなポイント | 実際の制度 |
---|---|
美容施術も免税できる | ×:サービスは対象外 |
医療機関なら誰でも免税販売できる | ×:法人形態ではなく、課税事業者であるかが要件 |
ドクターズコスメならなんでも免税可能 | △ 要件を満たす「商品」に限る |
まとめ|制度に沿った適切な運用を
訪日外国人の増加により、美容や医療の現場でも「免税」のニーズが高まっています。
しかし、免税制度は物販に限定されており、施術や医療行為は対象外です。
制度を誤解したまま免税販売を進めると、後に税務上のトラブルや指摘を受けるリスクもあります。
自院の業態や販売内容に応じて、正確に制度を理解し、必要な対応を進めましょう。
制度対応でお悩みの方へ|まずはセルフチェックから
「この商品は免税対象になるの?」「うちでも免税販売できる?」
そんな疑問がある方は、まず簡単に確認できるチェックリストをご活用ください。
制度上の要件を満たしていそうな方は、ぜひお気軽にご相談ください。